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【論文公開】東京大学・本田教授他による校則分析 2022/3

東京大学の本田由紀教授、当プロジェクトにも分析で関わっていただいた岡田有真氏などによって、埼玉県の公立高校の校則のテキスト分析が行われ、紀要にて論文掲載されました。

「埼玉県立高等学校における校則のテキスト分析」
東京大学大学院教育学研究科紀要 第 61 巻 2021
https://t.co/TKzMqVCLWR

田中祐児・岡田有真・荒木真歩・本田由紀
「埼玉県立高等学校における校則のテキスト分析」
東京大学大学院教育学研究科紀要
以下、論文冒頭の抜粋・引用です。

1 本稿の概要
A 本稿の目的
 2017年10月,大阪府立高校の生徒が髪染めを学校から強要されたことに対して訴えを起こし,これをきっかけとして,校則問題が社会の関心を集めた。その中で,生徒の人権を侵害しかねない,いわゆる「ブラック校則」の存在が,とりわけ中心的な問題となった。
 こうした社会情勢を背景として,学校現場における校則やそれに基づく指導の実態を把握する必要性もまた高まることになった。例えば,NPO法人キッズドア理事長の渡辺由美子氏を発起人とした「『ブラック校則をなくそう!』プロジェクト」では,ウェブアンケート調査や規則情報の募集によって,校則の実態把握が進められた。
 一方で,校則は基本的には文書として存在しているにもかかわらず,文書としての校則それ自体をデータとした調査・分析は,大阪府立高等学校の校則を分析した大津(2021)を除き,これまで十分に行われていない。
 文書としての校則は,本来的に指導を根拠づけるものであることから,実態として行われている規制や指導を明らかにする1つの証拠である。また仮に,校則のテキストと指導の実態に乖離があるとしても,あえて文書化された規則がどのようなものかを明らかにすることは必要である。これらのことから,校則問題を検討するにあたって校則のテキストの分析を行うことは不可欠な段階の一つであると言えよう。
 本稿は,情報開示請求によって得られた埼玉県の全県立高校の校則テキストデータを用いることで,校則にどのような規定が明記されているのか,それは学校ごとにどのように異なっているのかなどについて,明らかにすることを試みるものである。