何でこんな決まりがあるの? 思わず首をかしげてしまう理不尽な「ブラック校則」。愛知県内の高校はどうだろうか。全日制の県立高と名古屋市立高を調べたところ、存在する理由がわかりづらい校則が複数、見つかった。
二月上旬の夕方、寒風の中を学生服姿の男子生徒が「寒っ」「これはやばい」と言いながら、春日井工業高校(春日井市)の門から出てきた。
コートは着ていない。男子には「防寒具は体調不良時のみ許可する」という校則があるからだ。着用時には「異装届」と呼ばれる書類を提出しないといけない。女子は体調不良でなくても許可を得れば、防寒着を着用できる。
二年の男子生徒は「なんで女子だけいいの、という声がある。普通に着られるようになるといいけど」。学生服の下にトレーナーなどを着込んだ別の男子生徒は「みんな着てないから、自分も我慢している。校則は知らなかった」と首をひねった。
〜中略〜
◆守ることに慣らされ気付かない生徒大半 NPO法人副代表
「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」の発起人の一人で、NPO法人「ストップいじめ!ナビ」副代表の須永祐慈さん(40)は「細かいルールを守ることに慣らされ、おかしな校則でも気付かない子が六~七割いる」と指摘する。
生徒主導で校則を変える動きもあるが、声を上げにくい状況も。須永さんは「おかしいと思っても、大学推薦など評価に影響すると考えて黙ってしまう場合もある」と背景を解説する。
一方で、学校の秩序を保つために校則は必要だと考える教員は多い。県内の教育困難校で勤務経験がある教員は「身だしなみを整えることで授業を聞くようになった生徒もいる。校則指導を通して生徒と接し、見守ることもできる」とメリットを強調する。