不合理な校則「ブラック校則」を見直す動きが広がる中、奈良県天理市の中学校で、生徒が校則見直しの是非を問う「選挙」を発案し、変更にこぎ着けた。生徒らが見直しを求めたのは、女子生徒の靴下の色を白色に限定する校則。投票の結果、校則の変更に圧倒的な支持が集まった。社会状況や時代に合わない校則を、生徒自らの手で見直す試みとして注目されそうだ。(木村郁子、田中一毅)
大阪都構想の住民投票から選挙を発案
「女子の靴下だけなぜ白色なのか。不平等だと思った」。同市立西中学校3年生の井上桃花さん(14)は、こう話す。
同校の校則は、女子生徒の靴下の色を「白色」と規定。男子生徒は白色以外にも、黒や紺色などの靴下の着用が認められている。明確な理由はわからないといい、ある教諭は「男子はズボンをはくため靴下の色までよく見えないが、女子は見えるため、華美とならないようにという趣旨だったのでは」と推測する。
〜中略〜
改定ルールの策定求める声
合理性に乏しい「ブラック校則」は、平成29年に大阪府立高校で頭髪の黒染めを強要した指導をめぐる訴訟をきっかけにクローズアップされた。近年各地で見直しが進んでいるが、「校則を変えるための校則」を定める学校はほぼなく、専門家からは、改定ルールの策定を求める指摘もある。
理不尽な校則をなくそうと29年から活動する「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」の発起人で、NPO法人「ストップいじめ!ナビ」副代表の須永祐慈さんによると、同年から3年間、下着の色を指定したり、部活動の加入や黒髪を強制したりするブラック校則の事例は約500件寄せられたという。